한국국제교류재단

造形芸術がデジタル技術を取り入れたのは、米アップル社のマッキントッシュ（パソコン）が普及した1990年代だ。2000年代にはCNC（コンピューター数値制御）技術や3Dプリンターが広がり、2020年以降はAI画像ジェネレーターの実用化によって新たな転機を迎えている。

デジタルは社会を情報化して脱事物化する。そのため、事物化によって物質性を与えることが中心となる造形芸術作品は、一見時代の流れに逆行しているようにも見える。しかし、古典的な芸術ジャンルも技術を積極的に批評・再解釈することで、その在り方を模索している。特にデータを用いたデジタル技術は、作業の効率性を高めて労働強度を軽減するため、現代のアーティストがデジタル技術を取り入れるのは自然な現象だ。1980～90年代生まれの若手アーティストは、デジタル技術の限界に挑み、独自の作品世界を表現することが多い。

ここで注目すべきなのは、デジタル技術の利用によって、ジャンルの境界が曖昧になっている点だ。それは伝統的な美術ジャンルの存立を脅かしているように見えるが、かえって美術とは何かを問い直し、芸術の存在条件をさらに豊かなものにしている。絵画は彫刻になり、彫刻はデータ化され、工芸は絵画に生まれ変わる。材料や技法が重要だった従来の美術の規範から離れ、データと事物、そしてデジタルとアナログを自由に行き来する創作活動は、現代における伝統的なジャンルの在り方を物語っている。

データの扱い

キム・ハンセムは大学で絵画を専攻したが、あるインタビューで「キャンバスに油絵を描くことに慣れていなかった」と話している。デジタル世代にとっては、パソコンで絵を描く方が楽だからだ。そのため、卒業後は自分に合った方法を選んだ。

彼は、16ビットスタイルのRPGグラフィック風にデジタルドローイングをデザインしている。まずコンピュータープログラムで絵を描いた後、データを紙に出力する。その印刷物を石、クリスタル、MDF（中密度繊維板）など物質的な媒体と結び付けることで、データをデジタルの世界からアナログの世界へと遷移させる。印刷物を貼り付けるパネルやボードも自作しており、絵と共に作品のナラティブを構成している。その手工芸的な制作方法によって、見る者は触覚的な体験を得られる。そうした点で、彼の作品は「触れられるデータ」という他にはない位置にある。

また、インダストリアルデザインを専攻したジャクソン・ホンは、デザインと美術の境界を行き来するアーティストだ。彼は、コンテクストによって様々な意味に解釈できる事物の可変性、そして事物と人間の関係について探求してきた。さらに、事物の製造方法を視覚化することにも関心を持っている。それができるのは、作品のベースにデータがあるからだ。彼は、まずインダストリアルデザイナーが製品をデザインするようにデータを構築し、現実の作品にする。しかし裏を返せば、そのデータは匠の精神や技術に基づいた制作過程を通じて作られる。鉄板はデータに沿ってCNC工作機で裁断された後、技術者の手によって成形・溶接されて形作られる。

ジャクソン・ホンの作品において、データは完璧な道具であり、厳しい秩序や規範から逃れようというアーティストの意志の表れでもある。例えば、連作『Cross Hatching』では、意図的なデジタル・エラーを利用して図面が作られている。誤差のない規格化に抵抗し、別の解釈を誘導するためだ。つまり、彼の図面は単純な職能から脱した独自の作品であり、想像の中のX線写真とも言える。

3Dプリンティングの利用

彫刻を専攻したキム・ジミン（金志旻）は、ブランドラベルを労働集約的な手工芸でつなぎ合わせた作品を手がけてきた。その後、最近になって消費社会の心理現象を作品のテーマにし、制作方法をアナログからデジタルに変えている。特に『マンジョギ（MANJOY、満足の意）プロジェクト』では、3Dプリント技術が非常に有効だった。デジタル技術によって同じ形状のアイコンを素早く作り出すことで躍動感あふれる群衆表現が可能になり、それを通じて作者の主題意識をユーモラスに伝えている。

しかし、3Dプリンティングも万能ではないため、伝統的な彫刻の技法も取り入れている。例えば『Skull』の連作では伝統的な彫塑技法で原本を作り、その原本を3Dスキャンでデジタルに変換することで、別の作品『Coloring N.108』を出力した。さらに『Inside Out』のような大規模な作品にも、同じデータが用いられている。デジタルデータは、いくらでも違ったスケールで出力できるからだ。

また、東洋画と金属工芸を学んだオ・セリン（呉世粼）は、多彩な要素と様々な技術を組み合わせて、超現実的な視覚効果を生み出している。ソウルの梨泰院（イテウォン）にあるバイ・ファウンドリーで開かれた個展「森 温度 バンカー」（2022）は、陶芸と3Dプリントの技法によって構成された展示だ。環境問題に対する人間の矛盾を寓話的に解釈した展示作品は「模倣とまやかし」という初期の作品の主題意識と通じるところがある。

彼女の作品は遠くから見ると、どこが陶磁器でどこが3Dプリンティングなのか見分けることができない。この作品の3Dプリンティングには、インターネットに公開されているオープンソースのモデリングデータが使用されている。3Dソフトウェアでデータを結合・変形し、そのデータをFDM（材料を熱で溶かして一定の太さで出力し、1層ずつ造形していく）方式の3Dプリンターで出力したものだ。作品が超現実的に見えるのは、解像度の異なる要素を同一の条件で出力したからだ。

 

製織されたピクセル

チャ・スンオン（車昇彦）は、伝統的な製織（織機で織物を織る）技術を現代的な視点で再解釈している。繊維芸術と絵画を専攻しており「製織の技法で、20世紀の抽象絵画の中から興味のある作品をリメイクしている」と言う。

アメリカの抽象表現主義の画家ヘレン・フランケンサーラーの『The Bay』と韓国の画家イ・ソンジャ（李聖子）の『突然の規則』を織り交ぜた『Sudden Rules-Bay-2_』が代表的だ。コンピューターでイ・ソンジャの作品をデータ化し、ピクセル（画素）の構成に沿って製織データとして設計し直した後、ジャガード織機で出力する。そして、出力された織物にヘレン・フランケンサーラーのステイニング（薄く溶いた絵具をキャンバスに染み込ませる）技法を用いる。製織と染色によって、秩序と偶然を一つの作品に共存させようという試みだ。

彼女の作品では、言語と製織の関係に対する問いも重要だ。言語をデータ化・コード化して、製織の対象として取り込んでいる。変換機でコード化した「Before your birth」や「Your love is better than life.」などの文を図面として設計し、それに沿って製織する。言語と芸術の境界を曖昧にする実験とも言える。（敬称略）