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Tales of Two Koreas > 상세화면

2019 SUMMER

生活

二つの韓国 新しい
想像力が必要だ

「LiNK(Liberty in North Korea) 」とは、アメリカの韓国人学生が2004年に設立した非政府団体だ。現在、アメリカ、カナダ、英国、日本をはじめとする16カ国275団体と協力関係を結び、主に脱北者の海外定着を支援している。最近、韓国支部長のパク・ソッキル(朴錫吉)さんが、英国・朝鮮半島関係の増進に寄与した功労で、英国王室から大英帝国国家功労勲章(MBE)を受けた。

韓国系英国人のパク・ソッキルさんは、国連でインターンをしていたときに偶然「リンク」で活動することになり、2012年からは韓国支部を任され、脱北民の救出と定着を手助けする仕事をしている。

韓国系英国人で「LiNK」の韓国支部を率いるパク・ソッキル(朴錫吉)さんは、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)国務委員長と同年の35歳だ。彼は自分がもし北朝鮮に生まれていたら「チャンマダン世代」になっていたと言う。彼は北朝鮮住民の中でも特にこの世代に注目している。1980年代半ばから1990年代に生まれた若者こそ、北朝鮮社会に変化を巻き起こす蓋然性が高い世代だと信じているからだ。

「チャンマダン」とは、ソ連崩壊後に北朝鮮政府が住民に対する生活必需品の配給を大幅に減らしたため、生き延びるために自然発生的に生まれた野外市場を指し、ある面で北朝鮮経済の市場化を象徴している。北朝鮮全体の人口の4分の1を占めるチャンマダン世代は、1990年代半ば国家社会主義経済体制が没落した後に成長したため、既存世代とは全く違う社会化過程を経てきた。この年齢の脱北者に「党から配給を受けた記憶があるか?」とたずねるとほとんどの人が「ない」と答える。外部世界の情報にも相対的に多く接している彼らは、価値観、認識、行動などで父母の世代とは異なる様相を見せる。情報技術と環境が変わり、彼らは不法な外国メディアを消費し、外部の異世界に目を向ける。特にファッションをはじめとする外観と生活方式は、韓国ドラマや中国映画から多くの影響を受けている。

国際政治の専門家でもあるパク支部長はジャンマダン世代以外に、北朝鮮の家族との接触を続けている脱北者、資本主義、情報の流入拡大、政府統制からはずれた人的連結網の誕生、そして北朝鮮内部に蔓延する腐敗を、北朝鮮変化の6大要因だと指摘する。

偶然の契機
「国連でインターンシップをしようとニューヨークにいたときに、何人かの脱北者に会いました。その時に、北朝鮮住民のために何かしなければという覚悟と情熱を持つようになりました」。

パクさんが脱北者を手助ける「リンク」で活動することになった契機は偶然おとずれた。彼はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで国際関係学国際政治史の修士の学位を得て、ゆくゆくは国連か英国外交部で働きたかった。それでまず国連のインターンシップに志願した。インターンとして働いていた2008年、ニューヨークで脱北者救護団体「クロッシングボーダー(Crossing Border)」の設立者マイク・キムの講演を聞く機会があった。金融専門家のマイク・キムはシカゴ出身の韓国人2世で、北朝鮮住民の貧困の実態と脱北者の話をまとめた『Escaping North Korea』という本を出版した直後だった。脱北者を支援して中国の公安に拘束されたこともある彼は、講演終了後、パクさんにリンクで活動してみてはどうかと勧めた。

「リンク」は1980年代後半に、カスコン(KASCON, Korean American Students Conference)という名前で発足し、韓国人学生とアメリカ人学生が集まり、毎年カンファレンスを開き脱北者に対する関心を高めていた。その後、2004年エール大学に集まった韓国人2世の学生たちが、苦痛を受けている北朝鮮住民の実像を世界に知らせようと「北朝鮮の自由」という意味をこめた「リンク」を結成することにし、ワシントンDCに本部をおくことにした。会議や討論だけでは変化を導くことはできないことを実感して、団体を作ることにしたのだという。

「リンク」の活動費は、慈善と関心を寄せる各種財団をはじめ、学生、企業家、宗教団体、会員などの寄付金でまかなわれている。小規模な集会ではTシャツやホームメードの菓子、タピオカティーやオニギリのような物を売り、音楽会を開いては募金活動をしている。政府の支援は全く無い。

寄付金は主に中国に身を潜めている脱北者たちを脱出させるのに使われる。一人を脱出させるのにかかる費用は3000ドル(およそ330万ウォン)程だ。脱北者の主要経由地である東南アジアの国々でも隠れ家を提供し、アメリカへの定住を希望する人々には英語教育と職業訓練も行う。

「リンク」は「ノマドプログラム」も運営している。これは大学生と大卒者を対象に「ノマドインターン」を養成して、アメリカやカナダなどで北朝鮮及び住民に対する認識の変化を促すキャンペーン活動だ。ノマドインターンに選抜されると北朝鮮関連の教育を受ける。その次に年2回、春と秋に10週間北朝鮮の現状を伝える活動を行う。ノマドインターンは3人が一組となり合計1000カ所余りを訪問する。

「アメリカ50州の中で2、3カ所を除いたすべての州を訪問しました。小さな村に暮らすアメリカ人が『私たちにできることはあるか』と言ってくれたときには、大きなやりがいを感じました」。 実際に活動したパクさんの体験談だ。

世界各国の「リンク」を後援している支持者たちが送ってきた写真。ワシントンDCに本部をおくLiNKは16カ国275の団体と協力関係を結んでいる。© リンク

リンク韓国支部の職員たちと一緒のパク・ソッキルさん。ソウル苧洞にある事務所の前にて。© リンク

「北朝鮮住民に対する韓国の青年たちの共感能力は、100点満点の10点程度にしかなりません。北朝鮮に対する多くの知識より共感能力を育てることがもっと重要です」

外交官の夢が「リンク」に変わる
パクさんは、英国マンチェスターで韓国人の父と英国人の母の間に生まれ育った。彼が13歳になった1998年に初めて韓国を訪れた。英国に暮らしていた祖母が亡くなり、父が遺骨を韓国に埋葬するためだった。少年パク・ソッキルさんは初めて訪れた韓国で北朝鮮の存在を具体的に体験した。バスに乗るたびに窓に貼ってある赤いステッカーが気になり、あれは何かと父に尋ねた。父は「北朝鮮のスパイを申告しろと書いてある」と教えてくれた。幼い少年はその時に南北間の敵対関係を肌で感じたという。

彼の祖父母は二人とも咸鏡北道明川出身の失郷民だった。明川は故金正日国防委員長と金正恩国務委員長が韓国に贈り物として送ったマツタケで有名な七寶山のあるところだ。パクさんの父は韓国で高校を卒業した後、祖母と共に英国に移民した。通訳・翻訳の仕事をしていた父は息子に韓国の話をよくしてくれ、BBCニュースで韓国関連のニュースが流れると「見てごらん」と促した。

英国で高校を卒業したパクさんは、ウォーリック大学に合格した後、ソウルに来て1年間延世大学校の語学堂で韓国語を学んだ。外見は母親似の西洋人だが、いまや韓国語はぺらぺらだ。大学で心理学を専攻した彼は、2007年に再び韓国に来て、行政安全部の地方政府研修院国際協力教育科で、開発途上国の公務員たちに韓国の経済と文化を教える仕事をした。

パクさんは2012年5月に「リンク」韓国支部が立ち上がると、英国外交官の夢をあきらめてソウルに長期滞在し常勤活動をするようになった。ソウルにある韓国支部では現在、彼を含めて8人の会員が常勤として活動している。彼は脱北難民救助と保護・定着を手助けるリンクの既存業務だけではなく、脱北者に対する認識を改善するプロジェクトを推進している。彼の目標は何よりも韓国の若者たちの参加を引き出すことだ。彼は韓国の学生たちが脱北者についてあまりに知らないことに驚いたという。

「韓国に脱北者がどれだけいるかを大部分の人が知りません。3万人を超えたというと信じられないという人もいます」。

彼は韓国の学生たちが北朝鮮住民に無関心なのは、北朝鮮問題があまりにも政治化しているからだと考える。パクさんはリンクが「北朝鮮人権運動団体」と呼ばれるのはあまり好まない。韓国で保守団体として知られ、活動に制約を受けるのではないかと心配だからだ。

「韓国では、北朝鮮人権団体だというと保守右派だと言われるじゃないですか。私たちは右派でも左派でもありません。北朝鮮住民のために活動する非政府団体であるだけです。北朝鮮人権団体という表現もそれであまり好きではありません」。

しかし彼は、長期的な人権改善なしには北朝鮮が普通の国家になることはできないと考えている。今、北朝鮮の人権を口にすると非核化が難しくなるのではないかと心配する声も聞こえるが、この問題をいつまでもそのままにしておくことはできないというのが、彼の持論だ。独裁政権時代の韓国でもそうだったように、北朝鮮の人権問題は難しいが、誰かが根気強く声をあげなければならないというのが彼の主張だ。またパクさんは、BBCワールドサービスに韓国語放送を採り入れる案を、英国のデビッド・アルトン(David Alton)上院議員と共に推進している。韓国語放送が多くなればなるほど北朝鮮の人々に様々な情報を伝えることができると考えるからだ。

フレームを超えた共感能力
2018年の1年間に「リンク」のサポートによって北朝鮮の外に定着した脱北者は326人に達する。脱北者の救出事業を開始して以来、2018年末までに合計1000人がリンクのサポートを受けた。

「南北間の文化の格差と不慣れな制度のせいで、脱北者が韓国社会に定着するためには多くの支援が必要です。『リンク』は脱北者が韓国に定着して、さらには社会に溶け込めるようにサポートする役割しています。脱北者が増え韓国にうまく定着できれば、長期的には北朝鮮の変化を引き出すことができると考えます」。

パクさんは脱北者がサポートが必要な被害者であるだけではなく、北朝鮮に変化を導く促進者の役割を果たせると言う。脱北者の大部分が北朝鮮に残してきた家族に送金したり通話することで、自ずと経済的・意識的に北朝鮮内部に変化の風を巻き起こす軸となるという論理だ。パクさんは今後10∼20年以内には、今とは全く違った北朝鮮を見ることになると展望する。そのためにも韓国の未来を担う青年たちが北朝鮮住民に対して共感することが何よりも必要だと力説する。

「北朝鮮住民に対する韓国の青年たちの共感能力は、100点満点の10点程度にしかなりません。北朝鮮に関する多くの知識より共感能力を育てることがもっと重要です。韓国人は主に北朝鮮を『韓民族であり、統一の対象』だと見なすフレームにとらわれているようです。北朝鮮を、多くの地下資源と安い労働力を備えた魅力的な投資対象か利用対象としてだけ考えているようです」。

パクさんは「韓国の青年たちは北朝鮮社会に対して実に無関心だ。よって北朝鮮が扉を開けたときに、偏見と理解不足による南北間の社会的葛藤が想像以上になるだろう」と懸念する。

彼は政治・安保の枠組みのみで北朝鮮を見ている国際社会にも、他の視点を提案する。

「北朝鮮と言えば、真っ先にキム・ジョンウンや核兵器を思い浮かべますが、私たちがより関心を持たなければならない対象は、2500万人の北朝鮮の住民です」。

「リンク」は脱北者支援以外に、北朝鮮の人々の生々しい話を全世界に伝える活動もしている。2008年に作られたドキュメンタリー『チャンマダン世代』もその一環だ。パク支部長が共同監督をしたこの52分間のドキュメンタリーは、脱北青年10人の生々しい肉声で、北朝鮮の青年たちの思考と文化を伝えている。パク支部長は「ドキュメンタリーを見た人々は、映像の中の北朝鮮の青年たちが自分の友人のようだと話すんです」と語った。彼は北朝鮮住民に対して、これまでとは違った想像力を注文する。

「敵対でも、恩恵でもない視線が重要です。これまでとは異なる新しい想像力への架橋が、脱北者だというわけです」。

今年パク支部長は、英国・朝鮮半島関係の増進に寄与した点が高く評価されて、英国王室から「大英帝国国家功労賞」を受賞した。脱北者と北朝鮮住民の人権のために働いた功労が認められたのだ。ソン・フンミン(孫興民)選手が所属するイングランドプレミアムリーグのトッテナム・ホットスパーFCの主将ハリー・ケインも今回、勲章の受勲者名簿に名前があった。パク支部長は「今も光の当たらないところで、脱北者が無事に韓国に来られるように、黙々と活動しているすべての方々にこの栄光を捧げたい」と話す。

彼はこの先条件が整えば、祖父母の故郷である北朝鮮に行き、暮らしてみたいと言う。北朝鮮という難題を前にした彼の、力の限り最善を尽くすという覚悟のもう一つの表現なのだろう。

キム・ハクスン 金学淳、ジャーナリスト、高麗大学校メディア学部招聘教授
安洪範 写真

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